菊 舎 稿 本 31~35

 31. くつわ虫

    菊舎七十二歳の文政七年八月十五日から九月十三日までの、発句・和歌

    及び長府在住の文人との歌の贈答などを記す。


    本稿に題名は無いが、冒頭の歌の題「轡虫」からとった。

    本稿中の「十六夜」から廿日月」までの和歌については、

    別に則朗の添削を受けた二枚の断簡が存在する。


    本稿の体裁は、縦二十四.五糎、横十七糎、袋綴。

    表紙、裏表紙共に無し。全稿菊舎自筆。


            「三千とせに寿ぐ月の首途かな」

 32. 山めぐり集

    菊舎七十二歳の文政七年九月に、生誕地田耕を訪れたときの俳諧紀行。


    晴れて故郷に錦を飾る俳諧人生の総仕上げともいうべき一集。

    その田耕では、かつての婚家である村田儀兵衛(蓁々園桃葉)宅に滞在。

    周辺の人々との連句も多く行われ、人々からも厚くもてなされる。

    老齢ながら白瀧山にも登り、十月には蓁々園桃葉に一字庵の文台を譲る。

    

    本稿の体裁は、縦二十三.二糎、横十六.二糎、袋綴。

    表紙は、うす茶無地。裏表紙は無い。

    題は縦十五糎、横四糎で白。表紙中央に「俳諧紀行 山めぐり集」とある。


             「錦着るや一世の晴の月の笠」

 33. 月の笠

    菊舎七十二歳の文政七年秋から歳暮まで。「山めぐり」に続くもの。

    

    氏神の祭を見物がてら田耕を訪れた菊舎は、初めにそのことを

    数行記すが、あとは長府に帰庵後の初冬や歳暮の俳諧記録となっている。

    

    本稿の体裁は、縦二十四.五糎、横十七糎、袋綴。

    表紙は無く、裏表紙は本紙と同じ楮紙。題は無い。


             「錦着るや一世の晴の月の笠」

 34. 山田遊行 青田のながめ

    菊舎七十三歳の文政八年五月十四日から二十五日までの長府周辺の

    雅友を連れての俳諧記録。


    本稿の題名は、表紙に直書きの「文政八つのとし 山田遊行 青田のながめ」

    (菊舎自筆によるもの)の三行書による。


    本稿の体裁は、縦二十五糎、横十七糎、袋綴。

    表紙は本紙共紙、裏表紙は無い。


             「神風も爰に山田の青田かな」

 35. 亀山詣

    菊舎七十三歳の文政八年九月十三日から下関亀山八幡宮の祭礼に出かけ、

    祭り前夜の気持ちを漢詩・独吟の短歌行・発句・和歌に託したもの。


    十四日の祭り当日には、乗船して海から亀山八幡を眺めている。

    後半は、近隣在住の雅人たちに「詩歌連俳書画の風情来書有たけ筆を

    染賜ひね」と乞うて、多種多様な書画帳としている。

    菊舎の豊かな文人脈を偲ばせる一冊となっている。


    本稿の体裁は、縦二十四.五糎、横十七.二糎、袋綴。

    表紙、裏表紙共に水色楮紙。表紙に題名は無い。

    菊舎最晩年の画・筆として貴重なものである。


            「しらべ替へて月又若し十三夜」   

 説明文は上野さち子の「田上菊舎全集」に依っています。

Translation

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